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昭和最後の刺客・見沢知廉

 9月7日、作家・見沢知廉氏が死亡した。遺書はなかったが、関係者の話から自殺だったと伝えられた。翌日、僕はその事実を聞き、しばらく呆然となってしまった。今年になってから、奥崎謙三さん、林由美香さん、明智伝鬼さんと、古くからロフトプラスワンと関係の深かった人達が次々と逝去しており、しかも、ちょうど前日の9月6日には明智伝鬼さんの追悼式が開かれたばかりでもあった。
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 見沢知廉氏の訃報は、もちろん新聞等の複数メディアで報道されたが、どれも思ったほど大きな扱いではなかった。数年前から見沢氏は体調を悪くし、思うように執筆活動ができなかったようだ。獄中執筆で新日本文学賞を取った異例のデビュー作『天皇ごっこ』(95年)、出所後の第2作でベストセラーとなった『囚人狂時代』(96年)、三島賞有力候補になった『調律の帝国』(97年)などの著書も今ではほぼ絶版になっている。一時期は文学界の寵児として持てはやされ、あらゆるメディアに登場していた見沢知廉の最期としてはあまりにも寂しい。
 評論家の切通理作氏が見沢氏の死について「三島由紀夫と違い(見沢は)政治ではなく文学に殉死した」と書いている。確かに、彼ほど文学に取り憑かれ、また翻弄された人も最近では希有な存在だったと思う。彼の自死(自決?)が、見沢知廉再評価の契機になるのだとしたらあまりにも皮肉だが、しかし、文学界は(よく知らないがそういうのがあるとするなら)、きちんとそうした作業をやって欲しい。初期作品はもちろん、自身が起こした殺人事件に初めて正面から向き合った作品『蒼白の馬上』(2001年)などは、もっと評価されてしかるべきものなのだ。

 と、少々感情的になってしまったが、せっかくなのでこの場を借りて、見沢知廉氏がロフトプラスワンに出演したイベントをまとめてみたいと思う。急いで拾ったので正確ではないし、そもそもイベント出演を何度もドタキャンした見沢氏なのだが、以下古い順に並べてみた。

●95/10/13
「アブナイ話・政治編」見沢知廉(一水会)/奥沢広康(右翼情報収集家)/唐沢俊一

 これが見沢知廉のロフトプラスワン初登場。政治系のイベントではなく、なんと唐沢俊一プロデュースイベントのゲストとしての登場だった。しかも、94年12月8日の出所からまだ1年もたっていない。写真はパンチパーマ時代の貴重なもの(笑) この後、『天皇ごっこ』が出版され見沢氏は売れっ子になっていくのだ。
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●96/1/13(土)
「What is 一水会? 鈴木邦男克服“若手幹部による維新実践講座”」見沢知廉/大西満流

 この頃、まだ見沢さんは一水会の議長だったんだな。その後、会長の鈴木邦男氏と決別し、見沢さんは一水会を離れることになる。(後に相談役として復帰)

●96/2/14
『天皇ごっこ』そして『囚人狂時代』」見沢知廉(一水会)

 『囚人狂時代』の出版記念イベント。僕は未見だが、これがはじめての見沢知廉単独イベントだったらしい。この少し前にデビュー作『天皇ごっこ』が出版され見沢氏は一躍時の人となった。


●96/8/24(土)
「塀の外の懲りない面々」佐川一政/見沢知廉(一水会)/根本敬(漫画家)
●96/10/26(土)
「日本列島改造論?」佐川一政/見沢知廉(一水会)/根本敬(漫画家)

 うーん、実に興味をそそられる面子だ。これも生で見てみたかった!
この頃は、見沢さんと佐川さんの蜜月時代で、共著を出版する予定だった。

●97/ 6/3(火)
「文学ナイト」姫野カオルコ(作家)/見沢知廉(作家)/宅八郎、他

 僕がプラスワンに入った頃に行ったイベントなので個人的に思い出深い。宅八郎さんは見沢さんを「みさちゃん」と呼ぶぐらい仲がよかった。文学からサブカルまで、見沢さんの幅広い活動が垣間見えるイベントだ。

●97/10/3(金)
OLさんいらっしゃいvol.3「超上級犯罪学入門」佐川一政/見沢知廉/中森明夫

 “OLさんいらっしゃい”とは、店主の平野悠がつけたタイトルだが、これじゃあ来るわけないだろ!って誰もが思うイベント(ちなみにOL以外のお客さんはいっぱい来た)。このイベントの後、見沢さんと佐川さんは大喧嘩して絶縁した(共著も出版停止)。なおこのトークは「TALKING LOFT Vol.1」(絶版)にも収録された。

●97/10/24(金)
「人は更正できるのか」山崎春美(HEAVEN/タコ)/香山リカ(精神科医)/見沢知廉(作家)

 これも興味深い組み合わせのイベント。当時、世間を騒がせた「酒鬼薔薇聖斗」事件をテーマに開催された。

●97/12/8(月)
「激論!!反米ナショナリズム」木村三浩(一水会書記長)/見沢知廉(作家)他

 この頃、立て続けにイベントに出てます。古巣・一水会の木村さんと。

●97/12/22(月)
「『調律の帝国』刊!」見沢知簾(作家)/末井幸作(青林工藝舎社長)他

 小説『調律の帝国』の執筆は、何回も書き直し相当苦しんだと言われていたが、イベント中の見沢さんは結構陽気な時が多かった記憶がある。クリスマスツリー爆弾・末井さんと。

●98/4/27(月)
「元看守 vs 元囚人の天敵バトル!」見沢知簾(作家)/坂本敏夫(元幹部看守)他

 見沢さんプロデュースの大ヒットイベント。かつては、檻の中と外で睨み合っていた囚人と看守が狭いテーブルを囲んでトークするのだから、面白くないわけがない。トーク版・『囚人狂時代』といったイベントだ。

●98/5/25(月)
文学ナイトvol.2「三島由紀夫 大祭り!」見沢知簾(作家)/三島賞関係者多数

 『調律の帝国』で見沢さんは三島賞を受賞するはずだったので、それを見越して企画したイベントだったが、結局は残念会になってしまった。とはいえ、見沢さんは、雨宮処凛お手製の三島由紀夫フィギュアを持ってきて陽気だったが、内心は相当落胆してたんだろうなあ。今思うと感慨深いイベント。(ちなみに見沢さんはドタキャンで有名だが、この頃はそういった心配はほとんどしたことがなかった。)
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●98/8/3(月)
見沢知簾プロデュース「元看守 vs 元囚人の天敵バトルvol.2」見沢知簾(作家)/坂本敏夫(元幹部看守)/安土茂(元囚人作家)/獄中者組合/末井幸作

 人気イベント第2弾。

●98/12/7(月)
「元看守 vs 元囚人の天敵バトルvol.3」見沢知簾/坂本敏夫(元幹部看守)/安土茂/少刑少年院OB/元監獄医他

 人気イベント第3弾。

●98/12/8(火)
さらに吠えるサンコーvol.6「クソくらえ『戦争論』!! 冗談じゃない左翼野郎!!」木村三浩(一水会書記長)/塩見孝也(元赤軍派議長)/見沢知廉(作家)他

●2000/1/10(月)
「右翼の最新朝鮮紀行」見沢知廉(作家)/雨宮処凛(維新赤誠塾)/伊末秀人(同)/土屋豊(映画監督)/ハッサン(イラク人タレント)

 この頃は雨宮処凛さん(ミニスカ右翼時代)とよくイベントに出てた。その後、雨宮さんも作家デビューすることになる。そう考えると、見沢知廉〜雨宮処凛というラインには多くの符合があるなと思う。

●2000/6/26(月)
平野悠の「好奇心、なんでも聞いてやろう!」8「日本を撃て!」見沢知廉(作家)

 この時、見沢さんはドタキャンしたので、代わりに、旧友のGiyaちゃんがステージで見沢さんのエピソードを話してくれた。その後、Giyaちゃんは、ライター深笛義也として活躍することに。

●2000/8/2(水)
「『新しい神様』革命前夜祭」雨宮処凛(主演)/土屋豊(監督)/宮台真司/見沢知廉/園子温/森達也他

 この時は来たんだっけ? 当時、宮台さんと共著で天皇論の本を出すと聞いていたが、その後、お蔵入りになったのかな? 発掘希望。

●2001/2/15(木)「みんなでプラモを作ろうvol.2」樋口真嗣(映画監督)/弐瓶勉(漫画家)/やまけん(コスパ)/神長恒一(だめ連)/桃井はるこ(アイドル)/深紫'72(漫画家)/寒河江弘(モデラー)/見沢知廉(作家)他
 今見るとありえない面子! しかし残念ながらこの日も見沢さんは欠席。もし見沢さんが来てたらどうなったろう?と思う一番のイベント。

●2001/05/29(火)
「『蒼白の馬上』出版記念&『新しい神様』ビデオ・DVD発売記念」雨宮処凛、見沢知廉、他

 出版記念なのに欠席。見沢さん大丈夫か?と本気で心配になった。

●2001/11/19(月)
平野悠の好奇心何でも聞いてやろう!復活「殺すな!」平野悠/見沢知廉/西岡昌紀/小林Giya他

 この日は確か来たと思う。

●2003/10/17(金)
「野村秋介自決十年」木村三浩/鈴木邦男(作家)/見沢知廉(作家)/塚越慈徳(僧侶)/沢口ともみ(元反戦自衛官)/大熊雄次(群青の会副会長)/古澤俊一(元秘書)他

 イベント終盤に松葉杖で突如来場。ちょうど話題が9.11以降のテロについてだったが、見沢さんは壇上に登るなり「テロは正しい!」と机を叩き、そして30分ほど大演説をぶった。見沢さんはやっぱり華があるなあと実感した。

●2003/12/15(月)
「魁!ネットナンパ塾 今夜開校!」深笛義也(作家/ネットナンパ師)/宮台真司(社会学者)/見沢知廉(作家)/高須基仁(毛の商人)/雨宮処凛(作家)/草加大介(ナンパ塾塾長)/熊篠慶彦(バリアフリー男優)

 これもすごいメチャクチャな面子だが、来たような来なかったような・・・・(後に確認したところ、来てたんだが、途中で何かに腹を立てて帰ってしまった)

 他にも何度か飛び入りでプラスワンには訪れてるはずだが、正確な日付はもう少し調べないとわかりません。もちろん来る時は体調のよい時なので概ね元気だった。

 こうして一覧にしてみると、意外にも政治系のイベントは少ない。見沢さんが、文学をはじめ、いかに幅広いフィールド、人脈の中で活動していたかがよくわかる。
 見沢さんの早すぎた死をあらためて残念に思う。

<文◎加藤梅造>

(参考)見沢知廉公式サイト
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/misawa/index.html

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旧友・深笛義也氏が一番見沢さんらしいと言う写真。確かにいい写真です。

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著者:見沢知廉 新潮文庫  私が見沢知廉を知ったのはいつだっだろう。 確か別冊宝島の『実録!サイコさんからの手紙』という本の巻頭記事が最初だったろうか。この記事で彼は、妄想狂のストーカーに偏執されていく過程を、臨場感たっぷりにレポートしていた。その文... [詳しくはこちら]

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